東日本大震災で全てを失い、そして想いを一つに再スタート
昭和37年に岩手県陸前高田市に集約された酔仙酒造の本社と酔仙工場。敷地7200坪の敷地の周囲は、四季折々の花が咲き乱れる自然豊かな場所。 以来、地元では老舗の酒造として親しまれ、活性酒の代名詞ともなった「活性原酒 雪っこ」を始めとしたお酒の数々は、全国各地にファンも多く、“酔仙ブランド”は多くの人から知られる蔵元でもあります。
酔仙酒造に東日本大震災・津波が襲ったのは約3年半前。工場そして、登録有形文化財に指定された本社事務所や倉庫、旧守衛室は全て津波に飲み込まれ、酒造にまつわる全てが流されました。 震災があった平成23年3月11日は、酒造りの無事を祝い、蔵人を労う行事が開催される特別な日。そのため社員の多くが本社や工場から離れていたため、難を逃れた人が多かったと言います。 何十年も積み重ねてきた全てを失い、また数名の方が亡くなるなかで、「酒造りはもう出来ないのか…」多くの社員によぎった落胆の気持ち。一方で「ここで落ち込んでいてはいけない。立ち上がらなくては」。
そこから、現在の金野連社長をはじめとした数名の社員で酒造再建への険しい道へと乗り出します。並々ならない努力の日々と地域の方の協力を得ながら、周囲にも驚かれる異例の速さで復活を遂げます。 震災翌年の8月、社屋を陸前高田から大船渡に変え、操業を開始。現在は、今まで以上に地域交流も盛んに、地元に根ざした酒蔵である誇りを大切に、更なる酒質向上を目指して邁進しています。
新たな再スタートを切った酔仙酒造。現在では、震災前と変わらずに、全国各地のお店で、また取り寄せなどを通して酔仙ブランドのお酒を楽しむことができます。 今回は復興までの道のり、そして今後にかける想いを様々な角度から辿りました。