日下部 鳴鶴が揮毫した、丸一本間合名会社 看板
国稀酒造㈱の創業者・本間 泰蔵の遺産には、国の重要文化財から増毛町の文化財まで数多くの逸品が残されている。中でも、泰蔵は書への造詣が深く、明治期の三大書家と謳われた「長 三州(ちょう さんしゅう)」「厳谷 一六(いわや いちろく」「日下部 鳴鶴(くさかべ めいかく)」と交流し、増毛町にも招いている。
その一人である日下部 鳴鶴が、明治35年(1902)の丸一本間合名会社の創設に際して揮毫した看板である。
旧商家丸一本間家の、比田井 天来の『長楽萬隼』
比田井 天来(ひたい てんらい)は、長野県出身の明治期の墨客。「現代書道の父」とも呼ばれ、全国を吟遊した浪漫人でもあった。『長楽萬隼』の揮毫に、増毛町へ逗留した天来を美禄でもたなした本間 泰蔵への礼儀が窺える。
崇高な作品に、商いと算術のみならず、芸術家との仁術にも長けていた泰蔵の人となりを偲ぶことができる。
本間 泰蔵の手帳
四代目の林 眞二 社長と花織 取締役が古い収蔵品を整理していた際に偶然見つけた、初代・泰蔵の手帳。明治初期から大正時代まで、折々に記した事細かな情報からは、「小股をかく」泰蔵の如才なさを実感する。